腎臓内科医がシャント手術を行うメリット

私は千葉病院でシャント関連手術(シャント作成や動脈表在化、人工血管移植術、瘤切除などの手術)や腹膜透析のカテーテル挿入・抜去の手術を行っています。

基本的にはシャントの手術を行ってから2週間後から使用可能(穿刺できるよう)になります。

腎臓内科医がシャントの手術を行う私なりのメリットを挙げてみます(特に当院で行っている患者さん中心に考えた特別な環境も合わせています)

 

1.ギリギリまで粘った血液透析。シャント手術も透析を行う直前まで待てるので、余計な心配が不要。

手術を行わない腎臓内科医はどうしても、シャントの手術の依頼を早いタイミングで行う傾向があります。一般的には透析導入3か月前に作成となっていますが、経験的には、ご紹介依頼の患者さんで血液透析まで6か月とか1年とか待てるような方も中にはいるのも事実です。

また患者さんの仕事の都合に合わせて手術日を決められるメリットがあります。慢性腎不全を診てきて、その患者さんの生活スタイルも熟知しているので、そういったときに威力を発揮します。

明日手術ということも今勤めている病院では可能で、実際に行っています。入院期間も非常に短期間で、シャントや動脈表在化の手術は1泊2日を基本に行っています(シャントは日帰りも可能です)。

2.実際に血液透析の管理も行っていて、実際に透析前の穿刺も行っているので、使いやすいシャントを意識して作成できる。

シャントの手術は血管をつなぎわせるだけではなく、しっかりの血流が流れる必要もありますが、また流れすぎるのも心臓に負担がかかってしまいます。

基本的には内科の知識を持っているため、どの程度の血流が必要かということを作りながら意識することが可能です(もちろん後々発達しすぎる場合もあります)。

ただ、流れだけを意識して、吻合部を大きくするようなことは避けられるかと思います。手術だけ行っている場合と違い、

腎不全からシャント作成、透析まで診ているからこそだと考えています。

また、透析患者さんの高齢化を迎えて、シャントから途中で心臓に負担のかからない動脈表在化とシャント閉鎖の手術のタイミングもしっかりと決めることができ、患者さんの体を第一に考えた治療が可能だと思います。

3.腎不全の通院→シャント作成→透析導入→維持透析 まで全て1人の医師が責任もって行える

腎代替療法の選択も納得して行い、シャント作成も納得のタイミングで納得してでき、透析も納得のタイミングで開始できます。

また、実際に手術を行っているので、シャント作成の翌日の穿刺についても判断できます。

千葉病院にて私が行っている手術のおおよその所要時間です

<手術所要時間>

標準的な前腕のシャント手術:35分~45分

標準的な肘部(ひじの部分)のシャント手術:50分

上腕動脈表在化の手術:25分~40分

人工血管を用いた手術:1時間程度

腹膜透析カテーテル留置術:30~40分(+腰椎麻酔に10分程度。希望により全身麻酔も選択可能です)

シャントの手術は局所麻酔で行い、患者さんは常に仰向けで静止していないといいけないため、負担軽減(時間が長いと麻酔が切れたり、同じ姿勢のため一部に負担がかかったり)のため手術時間を出来るだけ短くする工夫が必要かと考えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です