腹膜透析とは?

 

2018年に診療報酬改定があり、腹膜透析や腎移植の説明を行うことが必要というものになりました。千葉病院においても、腹膜透析を選択される方が3割程度いらっしゃいます。

しかし、腎代替療法が3つあることを知っている人は少なく、「腎代替療法=血液透析」という流れになっています。

アンケートでも、いま血液透析を行っている患者さんでも、腹膜透析のことを知らない方も多いことが分かっています。

腹膜透析とは?

簡単に説明すると、「①きれいな水を②お腹(腹腔)の中に入れて、③しばらく放置して尿を作り出して④捨てる。」作業を⑤1日に1~4回行う という言い方が一番分かりやすいかと思います。

①きれいな水は?

腹膜透析の液を作っている会社から定期的に郵送されてきます。

②お腹の中どうやって入れる?

シリコン製のカテーテルと呼ばれる、細長い管を50分程度の手術(いわゆる盲腸の手術と同じくらいの侵襲性です)で入れ、そこから①のきれいな水を出し入れします。

もちろん管は1本なので、一方通行です。「入れる→4-6時間貯留(ためっぱなし)→捨てる」作業です。入れるための作業は合わせて15分程度です。

③しばらく放置してってどれくらい?

基本的には「入れる→4-6時間貯留(ためっぱなし)→捨てる」の4-6時間ためっぱなしで放置します。放置している間は何をしていてもよいです。車の運転、食事、仕事、、、、、

放置している間に、不要な老廃物や余分な水がきれいな水に移っていき、「尿」となっていきます。

④捨てる

いわゆる廃液と呼ばれる作業です。人によってかかる時間は様々ですが、おおよそ20分程度です。廃液している時も、新聞や本を読みながら、テレビを見ながら、デスクワークしながらが可能です。

⑤1日何回やる?

1日1回~4回行います。

行う目的によっても1日1回から始める方もいれば1日2回から始める方もいます。詳しくは「インクリメンタルPDとは?」の項目でその例を説明いたします。

 

  • 腹膜透析のメリットとしては

・自分の好きな時間にできる

・血液透析のように週3回も通院しなくてよい(月1回の通院です)

 

  • ただ、デメリットもあります

・自分で行う必要がある

・管を綺麗に管理しないと腹膜炎になる(確率は低いです)

・腹膜硬化症という合併症がある(確率はもっと低いです)

・永久に腹膜透析は出来ない(現状では7年未満が推奨されている)

腹膜硬化症や7年未満が推奨されていることについてはまた別項目でご説明します。今は「中性低GDP液」と呼ばれる、腹膜にやさしい透析液が利用できるようになり、腹膜硬化症の確率や7年未満の推奨が変わっていく可能性が考えられています。

 


ただ、血液透析にもメリットデメリットはあるので、全体でどちらが自分に向いているかを考えて選ぶ必要があると思います。

<血液透析のメリットデメリット>

  • メリット

・クリニックにお任せ(自分でしなくてよい)

・除水(水を捨てる)はある程度しっかりできる

  • デメリット

・時間を要する

「クリニックまで通院する時間+穿刺を待つ時間+透析3-4時間+止血する時間+クリニックから家に帰ってくる時間」→おおよそ1日がかり

シャントの治療が必要になる

意外と知られていませんが、シャントも血管が細くなったり、詰まったりします。そうするとバルーン(風船)治療をその都度行う必要があります。患者さんによっては3か月おきに風船治療を行っている方がいます。これも通院等含めると1日がかりの治療になります。シャントが風船治療で治療できない場合は作り直しの手術が必要です。患者さんによっては人工血管を入れたりする方もいらっしゃいます。

シャントの治療に初めて来られた透析患者さんは大抵「こんな痛い治療が必要になるなんて、最初に聞いていなかった」とおっしゃります。

こういったこともデメリットとしてしっかり説明する必要があると考えています。

・食事制限や水制限が腹膜透析よりきつい

・残腎機能(残っている自分の腎臓の機能:要するに排尿)が急速に低下してしまう

腹膜透析も血液透析もそれぞれメリットデメリットがもっと細かくあります。更に詳しくは千葉病院にてご説明いたします。

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