透析室でのエコーの選び方 ~B:エコーの用途を考える~ 大は小を兼ねない

  • まずエコーを3つの種類に強制的に分けたいと思います。

①片手で容易に持ち運びできるレベルのポータブルエコー

②台車がついているが容易に持ち運びができるポータブルエコー

③動かせるが、検査室に置いてあるような重厚なエコー

 

まずは表をご覧ください。

この表は私が千葉県千葉市で千葉バスキュラーアクセス研究会で「シャントエコーの必然性」というタイトルで講演させていただいたときのものです。

(もし医療関係者の方で、内容が気になる等ご興味のある方がおられましたらお気軽にご連絡ください。)

エコーの分類をしますと、表の感じになると私自身が理解しています。


  • まとめると

①は完全持ち運び可能なタイプ。充電して1時間程度は使用可能であり、1日の透析穿刺のなかで一度も充電しないでも使い切れる能力を有したもの。ただし、タッチパネル式が多いのでシャントの機能的な評価には向いていない。画質もやや劣るため、形態評価に関しても正確性を欠く可能性があります(もちろん高精細なものも存在します)。

 

②は持ち運び可能であり、ベッドサイドでシャント評価もスムーズに行え、穿刺の時間帯には穿刺にも使用できる。そしてあわよくばエコー下PTAにも使えるものを考えます(もちろん閉塞等PTAの難度が高いものは高精細なものが必要になり、実際に高精細なものもあります)。

 

③は検査室に置いてあるような大きいタイプで、ベッドサイドに移動は不可能で、患者さんを機械の目の前に連れてこないといけないものです。シャント評価とPTAのために使用します。透析室の穿刺には向いていません。

 

2番目の動かせるポータブルタイプのエコー機器でも、最近は18MHzのプローブが使用でき、高精細の画質が得られるものがあります。

今後、そのエコー機器についてはご紹介できたらしていきたいと考えています。

結局、③の重厚なエコーが全てを兼ねるとか、高性能そうだからといって③を安易に透析室に導入すると、

・穿刺に使えない

・評価する際も患者さんをエコーの目の前に連れてこないといけないので、患者さんに早めに病院に来てもらわないといけない

ということで、大は小を兼ねないということになってしまいます。


  • 話はここでPTAでの使用を考えてみたいと思います。

PTAに使用するエコーですが、確かに高精細でなくてもいいという意見もあります。

確かに、PTAは行おうと思えば穿刺用の簡易エコーでもできてしまうと思います。

 

しかし、閉塞症例で時間が経過している(2週間とか)症例でシースを閉塞直前に留置し、シースの内筒で閉塞部位を掘り進めていかないといけないような難しい場合は、絶対的に高精細のエコーが必要になると考えています。

これが高精細でないとかなりストレスフルなPTAで、時間もかかってしまうし、成功率がぐんと下がってしまうと考えます。

PTAはその術者がどれだけ粘って開通させるか、ということが鍵になります。これもまた後日お話しますが、いままで、千葉病院で3か月以上閉塞していた症例で、高精細のエコーを使ってシースの内筒とガイドワイヤーで掘り進めて開通し、その後長くシャントを使用できている症例を、何例も経験しています。

 

難しい症例から簡単な症例までユニバーサルな症例に対応するためには、ここは「高精細・高画質は低画質を兼ねる」と考えています。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です