肥満が原因で尿蛋白が出ることがあります。
肥満により糸球体濾過量の増加,腎血流の増加,腎腫大が報告されています。
「肥満関連腎症」と呼ばれていて、糸球体の腫大やFGSの様相を呈します。もともと肥満の方は腎生検が難しいことがあり、一般的には避けられる傾向にあるようです。確かに、肥満の方の腎生検は難しい場合がありますが、当院でも数多く、この病態と考えられる症例を経験しています。
当院の症例では糸球体腫大を認める割合が多く、FGSは小数例でした。
肥満では尿細管障害を引き起こす可能性があることも知られてきており、今後も注目すべき点かと思われます。
やや難しいお話をしましたが、痩せることで、尿蛋白が改善する方もおられます。
「肥満+尿蛋白」の方で、腎生検が必要かもしれないと言われたかたは、いずれにせよ痩せることが必要です。
ちなみについ先日も、40代の女性で、BMI31で、尿蛋白が1日推定量0.8g程度出ていた方が、腎生検の必要性と共に、まずは痩せる必要性を説明し、実際に痩せていったところ、尿蛋白が推定量0.1g程度まで低下している方を経験しています。血圧も下がる傾向にあり、腎生検もとりあえず今は行う必要性が低いと判断しており、ご本人も非常に喜んでおりました。
肥満は万病の元ということは、こういう肥満関連の腎症も指すのだなと感じます。そもそも肥満自体が腎臓に負担がかかっていることを表しているので、腎臓に問題がないと言われている方でも体重に気を遣うことが必要かと思います。
当院での病理例についてはまた今後ご提示します。
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