腎臓が悪くなって、透析が(将来)必要になった場合に3つある腎代替療法から選択する必要が出てきます。
腎代替療法の3つ
①血液透析
②腹膜透析
③腎移植
透析というと血液透析を真っ先にイメージするかと思います。その他の選択肢として、腹膜透析と腎移植があります。
腎移植は海外では数が多く、透析は腎移植を待つための一時しのぎという認識をされている国もあるようです。アメリカでは3回以上腎移植をされている方も珍しくはないようです。また、欧米の医師は「もし仮に、自分が末期腎不全になった場合、どの治療を選択しますか?」という問いに対し、「腎移植を希望する」割合が多いという結果も出ています。
日本の2010年時点の人口当たりの腎移植件数はアメリカの1/5しかないという状況です。ここ最近(2012年~2016年)は全国で年間1600件台を推移しています。
腎移植は
①生体腎移植:生きている方から腎臓を提供される場合
②献腎移植:亡くなった方からの腎臓の提供の場合
の2つがあります。
①生体腎移植
生体腎移植の場合のドナーは、親族であることが移植学会の倫理規定で定められています。
親族でも、「6親等以内の血族+配偶者+3親等以内の姻族」であることが規定されています(姻族=婚姻でできた親戚)。
さらに、
・心身ともに健康な成人
・自発的に、誰にも強制されないで、見返りもなく腎臓の提供の意志があること
となっています。
個人的には生体腎移植は、親→子、夫婦間、兄弟間が良い適応かと考えています。子→親の場合はできれば避け、それ以外の提供者を探す方がよいと考えています。
やはり提供者は2つある腎臓が1つになるわけで、その後の人生が長いほど、腎臓1つで人生を全うできる可能性が低くなってしまうかと思われます。
子供→親に提供する場合は、年齢差が凡そ25~30年あるわけで、提供者となる子供の方が単純に30年近く長く生きなくてはならず、その間に提供者が透析・腎機能障害が進行した場合は、提供された側もそういった状況になってしまうのは本意ではないと思われます。
②献腎移植
献腎移植は、脳死後または心停止後の方で、生前に書面や臓器提供意思表示カードで本人の臓器提供の意思がある場合や、本人の意思が確認できない場合でも家族の承諾がある方から腎臓が提供されます。
選択基準は、血液型、提供施設と移植施設の所在地、HLA型ミスマッチ数、待機期間などが考慮され、選ばれます。平均的な待機時間が15年程度と言われています。
どうやったら登録できる?
既に透析されている方でしたら、透析施設の先生に相談してみてください。
まだ透析されていない方の場合は、今通院している病院の先生に相談してみてください。
千葉市および周辺ですと、千葉大学が登録施設になっていて、当院からも千葉大学に受診しています。今年度から、移植を行っていた先生と専門性の高い看護師がJCHO千葉病院に赴任してきているので、腎移植の詳しい話も聞くことができるようになりました。
千葉大の移植チームとも連絡を取り合っているので、登録の受診もスムーズです。
千葉県では腎移植はその他にも、亀田総合病院、玄々堂君津病院、東京女子医大八千代医療センター、順天堂大学浦安病院、東京歯科大学市川病院で行われています。
千葉市内では千葉大学のみ(2018年度より)となります。
腎移植までどれくらいかかる?
また後述いたしますが、透析になる前に腎移植するという先行的腎移植(PEKT:Preemptive Kidney Transplantation)というものも行われています。
腎移植前の検査(提供側も受けて側も検査しないといけない)に凡そ半年かかる(早いところでは4か月程度のところもある)ため、PEKT(先行的腎移植)を受ける場合は、比較的早い段階(少なくともと透析になるであろう時期から1年程度前)から、医師から腎代替療法の説明をしっかりと受けて、それぞれの腎代替療法の治療を理解しておく必要があります。
また、肥満がある場合はその後の生着率や手術難度にも影響してくるため、BMIは25以下にコントロールすることが重要とされています。
やはりせっかくもらった腎臓がすぐにダメになってしまっては、提供した側も残念に思ってしまう可能性があります。
例えば糖尿病は腎移植後に腎機能が改善後に悪化してしまうため、いずれにせよ肥満の解消は必要になるかと思います。糖尿病で透析になったのに、腎移植した腎臓がまた糖尿病で悪くなるということは避けなければならないと考えます。
腎移植後シャントはどうする?
腎移植後、シャントは基本的にはそのままのところも多いようです。
腎移植後、1年以上経過してからシャント閉鎖するところもあります。総じてみると、シャントを閉鎖する方が、シャントをそのままにするところよりも多いようです。
最初から腎移植を行うことが分かっていて、検査でも腎移植ができることが分かる段階であれば、透析になる段階で、シャントではなく動脈表在化を選択することも良いかもしれません。動脈表在化であれば閉じる必要性がないからです。
シャントは少なからずも心負荷はあるので、腎移植が上手くいって時間が経過すればするほど使う可能性は減っていくものとは思われます。
また、今後も腎移植について必要なことをまとめていきます。
JCHO千葉病院では2019年4月より腎移植専門のDrとそれをサポートする薬剤師、専門看護スタッフも着任しており、気軽に腎移植のお話を聞くことができるようになりました。
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