ここ最近、腹膜透析を希望される方が増えています。千葉病院でも3割程度の患者さんが血液透析ではなく腹膜透析を選択されています。
その理由は、自分の好きなタイミングで行えることや、家で夜間寝ている間に透析が出来てしまうことが挙げられます。
1日4回のバッグ交換までいくと大変でちょっと難しいというイメージを持たれるかと思いますが、インクリメンタルPDといって、初期の段階は1日1回のバック交換もしくは夜間だけの「かぐや」という専用の機械(夜寝る前につなげて朝起きたら終わっている)を使う透析ができます。
いま血液透析で通院されている方も、腹膜透析を新聞などで目にするようになり、腹膜透析ってどうなんですか?といった質問をされる方もでてきています。
とりわけ、先日の透析中止に関する問題提起において、腹膜透析が新聞で取り上げられたこともあるかと思われます。
基本的に、腹膜透析は残腎機能に腹膜透析を加えてトータルで体を浄化する治療になります。そのため、残腎機能が落ちている(尿量が少なくなってしまっている)方は移行するメリットが少ない可能性もあります。しかしながら、そういった方でも血液透析を週1回+腹膜透析というハイブリット治療も行える可能性も充分ありますため、担当の先生に聞いてみるのも一つであると考えております。
血液透析→腹膜透析の移行は血液透析開始半年以内が望ましい
明確な基準はありませんが、経験上、血液透析を導入して2年以内(出来れば半年以内が望ましい)の方で、自尿が500ml/日(非透析日:透析しない日に出る尿の量)あれば腹膜透析に完全移行できる可能性があるかなと考えています。もちろん、体が大きい方は難しい可能性もあるかと思います。
繰り返しになりますが、自尿が少なくなっていると、完全な腹膜透析には移行できず、ハイブリッドと言って、血液透析週1日+腹膜透析週6日という治療を行わざる得ない可能性があります。完全移行できたとしても、最初からCAPD1日4回交換を行う必要性がある可能性があります。
個人個人それぞれなので一概に「こうだ!」ということは言えません。
移行時のポイントは
- 初期の体重管理
- 電解質管理
であると考えています。とりわけ、初期の段階ではマイルドな飲水制限も併用した体重管理を行うことにより、スムーズに移行できるかと考えます。
腹膜透析を開始した後は、血液透析を行っていたときよりも自尿が増加することを経験します。国内の症例報告でも血液透析から腹膜透析移行にて自尿が増加するという報告がいくつかあがっていますが、そのメカニズムは明確にはされておりません。
移行するメリットとしては
・血液透析に通院しなくて良くなる(ハイブリッドの場合は週1回に血液透析回数が減る)
・水分制限やカリウム制限(野菜や果物)が血液透析に比べて緩い
・除水がマイルドであり、体の負担が少ないなどが挙げられるかと思います。
もちろん「今まで血液透析でうまくいっているからいい!」という方にお勧めするわけではなく、全員が全員移行すればよいということでもありません。
透析導入時に血液透析しか知らなかった!という患者さんには是非考える機会を持っていただければなと考えています。
血液透析をされている患者さんで腹膜透析が気になる、やってみたいなどあれば一度透析されている病院の先生に相談してみましょう。
今私が勤めている千葉病院でもそういった方の受け入れや説明を聞いてみたいという方の受け入れを行っていますので、お気軽にお問合せ下さい。
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