これは千葉病院に勤めていて良く聞かれる質問の一つです。
「毎日飲まないように」「お酒はだめだよ」とか「普通に飲んで大丈夫ですよ」とか。
一体どれが本当なのでしょうか?
まずはガイドラインを見てみましょう
「CKD(慢性腎不全)患者を対象とした観察研究が少なく、適度な飲酒量についての推奨は困難である」
となっています。
要するに飲んでもよいが、どれくらいまでならいいのか良く分からないということです。
しかしながら、ガイドラインでは慢性腎不全の患者さんさんでは動脈硬化を併せ持っている人が多いので、推奨量以下のアルコール摂取についても脳血管障害の発症が増加する可能性があると結んでいます。
研究では、慢性腎不全患者さんに起こる出血性脳血管障害(すなわち脳出血やクモ膜下出血)は日本酒0.3合以上飲んでいる方に顕著であったとされているものもあります。
しかし、IgA腎症の患者さんで6年の観察で中等量のアルコール摂取(1日10g~40g)で腎機能悪化のリスク低下(!)に関与していたとする研究もあります(要するに飲んでいた方の方が腎機能悪化が少なかった!)。
まとめると、研究とはいっても、小規模かつ前向きではないため、実際のところは分からないということになります(腎不全の患者さんを連れてきて、お酒を飲む人、飲まない人に振り分けているわけではないので、背景にあるものの影響を大きく受けてしまうということです)。
それでは国が定めている一般の方の適切な飲酒量とはどれくらいでしょうか?
→アルコール量として、1日20g程度 としています。
アルコール20gとはいったいどれくらいでしょうか?
・チューハイやビールだと350ml缶1本分
・日本酒だと1合
・ワインだと140mlくらいでグラスワイン2杯分(グラスにどれくらい注ぐかによっても違います)
お酒にはアルコール度数がパーセント表示されているので、飲んだ量(ml)×アルコール度数%×0.01とすればおおよそのアルコール摂取量が分かるかと思います。
適切な飲酒量って意外とちょっとしか飲めないんですねと思ってしまいそうです。
私の外来では、飲酒に関しては、飲んでいる量を伺って、少し減らしてくださいとか今まで通りの量ならよいですよ、という感じにしています。
おおよそ国の推奨する量の20gくらいが適当かとは考えています。
お酒を飲むと血圧が下がる方(恐らく末梢の血管が拡張して)がいらっしゃるので、降圧薬を内服されている方、とくに何種類も飲んでいて、αβブロッカー(ビソプロロールフマル酸、カルベジロールなど)が含まれている場合などは注意がいるかと思います。
でもやはり沢山飲む方は酒のつまみに塩分のあるものも摂っているはずなので、注意が必要かと思います。
適度な量に抑えましょう+かかっているお医者さんと相談しましょう!
杉原
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