短編:PTAでシャントが壊れたら?

シャントPTAというのは透析に使うシャントが狭窄したり閉塞したときに、バルーンで拡張する治療のことです。

腎臓内科の仕事の一つでもあります。

PTAは風船部分に20気圧などの高圧をかけるため、シャント血管がラプチャーすることがあります。

ラプチャーしたとき、私は血管リーク部位で、バルーンを2気圧程度にして、外側からは術者の手で圧迫し、2分程度待つ ということをしています。大抵この方法で何とかなるのですが、時々なんとかならないことがあります。

 

石灰化したシャントがラプチャーしたときです。このときは圧迫法が通用しないことが多いと思われます。

石灰化するのは何故か、静脈については吻合部から約5cm以内の石灰化が多い印象です。動脈についても末梢の方が石灰化が強くなります。

その石灰化部位がラプチャーしたときはおおよそ緊急オペをする他ありません。

まずエコーでどこがラプチャーしているかを確認します。石灰化した血管がラプチャーした場合の手術方法ですが基本的に修復不能な状態の想定とすると、


  • 吻合部から静脈側でラプチャーした場合

ラプチャーした部位よりも吻合部側に皮膚切開を2cm程度入れ、静脈を結紮します。静脈の中枢からの血流は圧力が低いので圧迫すれば自然と止まります。

  • ラプチャーした部位が限りなく吻合部に近い場合

静脈での結紮を諦め、動脈を吻合部の前後で結紮してしまいます。このときの注意点は、動脈の末梢からのフローを必ず確認することです。要するに手のアーチからくる(尺骨動脈からくる)動脈のフローを確認することです。

  • 動脈側がラプチャーした場合

同様に、ラプチャー部位の前後で結紮しますが、こちらも末梢からのフローを確認します。


もちろん修復できれば一番いいと思います。

今回は、PTAでシャントが壊れたら?を短編でお送りしました。もっと奥が深いので、もっと知りたい等あれば気軽にご連絡ください。

 

 

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